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私なんてどうしようもないほど、気の抜け切った格好だった。
プレーンなセーターに下は茶のパンツ。
とくになにかを新調したわけでもない。
彼の実家を訪れてみると、義父はブルゾンにスラックス、義母はセーターにエプロンだった。
こんな雰囲気のところに、いつものような戦闘態勢のスーツとばっちりメータで行ったら、きっと浮きまくっていただろう。
私は胸をなでおろした。
はじめて彼の実家を訪れる際は、前もって彼の両親のギャラを徹底的にリサーチしておこう。
自分本位に考えず、相手と同じ目線に立つことが、なによりも年上女の「嫁ランク」を上げる。
そして挨拶に行った後は、必ずお礼状を出すこと。
ここまですれば「いい嫁候補」として申し分なく映るはずだ。
2、親の前では彼を年下扱いするな 年下の彼がもっともいやがることのひとつが、両親の前で年下扱いされることだという。
一番見栄を張りたい両親の前で、年下扱いされるのはたまらないのだろう。
彼の両親だって、愛する息子が年上女のしりに敷かれている姿をまのあたりにしたら、そりゃあ気分も害するはずだ。
彼の両親の前ではとにかく彼を立ててあげることだ。
べつにそれが演技でも構わない。
延々とつづくわけじゃなし、その場だけでも取りつくろえればいいと思う。
そのほうが彼、そして両親だって気分がよくなる。
私は彼の実家に行くと、なるべく食事の支度を手伝うようにしている。
いつもだと彼に「箸を並べて」とか「マヨネーズ持ってきて」などと、やたら命令するが、この時ばかりはしない。
彼にはゆっくりテレビをみさせ、一時的な亭主関白気分を味わってもらう。
正直腹のなかでは「少しは動けよ」と思うこともあるが、そこはがまん。
あくまでも一時的なものなのだからと、自分によくいいきかせる。
とはいっても、後で彼に「私ばっかり動かせて」と文句をいうこともあるけどね。
このあたり私も「まだまだ人間できていないな」と反省しているのだが……。
多分、彼の両親は私の性格をみぬいているので、彼に家事を手伝わせていることはうすうす感じているだろう。
だからといって、東京でのスタイルをそのまま彼の実家に移行しては、拒否反応を起こすに違いない。
彼の両親の前では彼を最大限に立てる。
彼の実家が亭主関白であればなおさらだ。
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